「駐車場」の有効活用に、次の飲食業のビジネスチャンスがありそう

 新型コロナウイルスの感染拡大の以前から、ゴーストキッチン、バーチャルブランドの登場や、テイクアウトやデリバリーなど店舗外(オフプレミス)での販売ツールの拡充、そしてレストラン体験のデジタル化が進んでいったことで、レストランビジネスの定義は変わり始めていました。

 そして、パンデミックがそれを加速させました。今や経営者は、新しく店舗やブランドをスタートさせるためには、従来の立派な構えの店舗は必ずしも必要ではなく、商業用のキッチンだけでも十分にできるという事実を、これまで以上に理解してきています。


 そして、アメリカの「リーフテクノロジー(REEF Technology)」は、このような経営者の需要に対応する企業の一つです。もともとは、駐車場管理会社としてスタートした同社は、アメリカとカナダの数千もの駐車場を、デジタルツールを通してアクセスが可能な、商品やサービスを提供する場に変えて活用しようとするようになりました。


 「駐車場」と飲食業は、一見関係ないように思えますが、そこにはどういったビジネスチャンスがあるとリーフ社は考えているのでしょうか。

 (元記事 QSR:Turning Parking Lots into a Restaurant Goldmine


駐車場の活用に飲食ビジネスの可能性を見出し、ビジネスを展開するリーフテクノロジー社(写真は元記事より引用)


 リーフ社のCOOであるカール・シーガル氏は、「当社が行うのは、駐車場を近隣コミュニティをつなぐハブ(拠点)として、人々の生活や職場に近い場所であることから、コミュニティ内の商品やサービス、体験をエンドユーザーに届けることができる場所として、この利用されていな『資産』を再定義することです」と述べています。 


 その中でもリーフ社が力を入れるのは、飲食事業ですです。リーフキッチン(REEF Kitchens)はフードトラックのように移動できる施設で、4~6ブランドを収容することができます。この施設は、消費者にとっては、移動式食堂(ピクニックテーブルが隣接していることが多い)として機能するか、オンラインで注文した商品のピックアップ場所として機能し、ゴーストキッチンとしての役割も果たしています。


 シーガル氏によると、現在、北米の20以上の都市に100件以上の「移動施設」が設置されているという。当初リーフ社では、「バーガーバイツ」、「ウイングス&シングス」、「ウォークトーク」などの名前で、独自のブランドを運営することから始めました。

 しかし、新型コロナウイルスの影響で苦しむブランドに、ゴーストキッチンとして施設の提供を開始し、他のレストランブランドとの提携に力を入れています。例えば、チキンサンドウィッチのブランドである「Fuku」は、コロナウイルスの影響で全ての店舗を閉鎖しましたが、リーフと提携し、ニューヨークとマイアミで料理の提供を続けています。


 シーガル氏は、リーフのサービスを利用するもう1つのチェーンとして、「バーガー・ファイ(BurgerFi)」のケースを紹介しています。ここでは、リーフ社はブランドのためにライセンスを取得した運営者として動いており、施設利用費を取っていません。

 シーガル氏によれば、バーガー・ファイのようなブランドは、リーフ社のビジネスモデルにとって完璧にフィットしているそうです。例えば、これまで展開していないエリアを開拓するのに役立ちます。これまでは、新たな地域に展開しようとする場合、金銭的な資本だけでなく、人材や物流に関しても大きな支出が必要でした。しかし、リーフ社のサービスを利用することで、ブランドは非常に柔軟に新規地域に参入し、事業を行うことができるのです。


 リーフ社のCCOであるアラン・フィリップス氏は、同社の活動を、AmazonのようなプラットフォームがEコマースに革命をもたらしたことに例え、「当社では、レストランビジネスの不均衡を解消し、より公平な競争の場を提供しています。ブランドや起業家、食通、シェフが消費者にリーチできるようにし、小さな場所で最高のハンバーガーを作る小さな会社と、新たな顧客にリーチし、不動産コストを下げたいと考えている大企業とが、平等に競える場を作り出しています」と述べています。


ー YAGI USA コメント ー

 リーフ社が考える「駐車場のコミュニティ・ハブとしての活用」というアイデアは、非常に面白く、これからのウィズコロナ、アフターコロナの世界にもフィットするように思います。

 そう考える理由は3つあります。

 1つ目は、出店リスクや、店舗運営のコストを下げたいレストランブランドが増えると予想されるからです。パンデミックの影響で、経営が苦しい飲食店が多いですが、それでも売上を伸ばすためには新規出店などのチャレンジも必要です。その際に、リーフ社のサービスは非常に有効でしょう。デリバリーやテイクアウトが増え、店内でのレストラン体験の重要性が相対的に下がる中、移動型のゴーストキッチンへの需要は高まると予想されます。

 2つ目は、ローカルコミュニティがより重要になると予想されるからです。パンデミックの影響で、遠出をすることや、外出すること、外食する機会はぐっと減りました。そして、新型コロナという共通の「敵」が生まれたことで、共有や助け合いというマインドは高まったように思います。その際に、近隣の駐車場が、地域コミュニティのハブとなれば、屋外で密な環境でもないですし、地域社会にとってのコミュニケーションの場となる可能性があると思います。

 3つ目は、自動運転の拡大によって、駐車場の役割の変化が予想されるからです。自動運転と、Uberのようなライドシェアが組み合わさったサービスが拡大すれば、自分で運転し、駐車するという機会は大幅に減ると思います。目的地に向かい、降車の際に一時的に停車することがあっても、長時間駐車場を利用するという機会は減れば、従来の駐車スペースは不要になります。そこを、キッチンスペースや、地域コミュニティとして有効活用できる可能性は十分にあると思います。

 

 リーフ社のビジネスモデルは、飲食ビジネスに限らず、その他の業界にも広がっていくポテンシャルは高いと思います。間違いなく、ウィズコロナの世界で注目の企業のひとつとなると思いますので、今後も動きをチェックし、検証していきたいです。

 【YAGI USA ビジネスコラム ライター(東京): 神戸 孝平】

 

ーー

YAGI USA LLCでは、アメリカ進出に役立つ情報、市場やトレンドに関する最新情報を発信していきます。

その他、米国進出支援、米国販路開拓サポート、展示会サポート、視察サポートなど、様々なご希望に対応させていただきますので、ご興味がございましたら、usat@yaginet.jpまで、お気軽にご連絡ください。

以下のお問い合わせフォームからでもご連絡いただけます。

YAGI USA LLC

アメリカのビジネス最新情報を受け取る!

0コメント

  • 1000 / 1000