アメリカのアパレル展示会が延期決定。業界慣習の「リセット」へ。

 先日、世界最大の展示会運営会社であるInforma(インフォーマ)より、7月、8月にニューヨークで開催予定のアパレル展示会が、中止、もしくは9月に延期になるというメールが届きました。

 延期の対象となるのは、7月19日~21日に開催予定だった「PROJECT」を含むメンズの展示会と、8月2日~4日に開催予定だった「CHILDREN'S CLUB」で、9月22日~24日に延期となり、「COTERIE」を含むレディースの展示会との合同開催となります。

 同じく8月2日~4日に開催予定だった、Women's Showはキャンセルとなり、出展予定だった一部のブランドは、9月の展示会に振替出展となるそうです。(公式サイトでの発表

 この延期や中止は、業界にどういった変化をもたらし、どんな意味を持つのでしょうか。


NYのLiberty Fairsの様子


業界慣習の「リセット」の機会

 今回の決定は、単に展示会が延期や中止になっただけではありません。ファッション業界のこれまでの慣習が、根底から変わる可能性が非常に高まっていることを意味しています。

 ジョルジオ・アルマーニが、今月2日にファッションメディア「WWD」に寄せた公開書簡の言葉を借りれば、「業界の現状をリセットしてスローダウンする貴重な機会」になると考えられます。


 近年のファッション業界では、様々な課題が浮き彫りになっていました。価格競争をするための大量生産が環境問題を引き起こす。トレンドを追いかけすぎるがために、無理な生産スケジュールを工場に強いる。業界の慣習に合わせるがために、季節外れな商品が店頭に並ぶ。

 このような、業界の方々ですら疑問に感じていた問題や課題が、今回のコロナ・ショックによって、一気に変わっていくと予想できます。


 この変化が引き起こされる理由は、いたって単純で、「服が売れなくなるから」です。人が服を着る以上、全く売れなくなるわけではないですが、これまでのような売れ方はしなくなることは間違いないでしょう。

 売れなくなるワケも、2つあると考えられます。

 1つは、この混乱が長続きし、アパレルブランドの中の体制や、店頭での販売体制が整わないことが予測されるからです。あるアパレルブランドの経理部門では、9月までは業務が止まる、というような話も聞きます。それが本当であれば、会社として処理できる体制が整うまでは、販売はできないのでは?と思います。

 もう1つは、服を買うことの優先順位が、著しく下がることが予想されるからです。ウイルスの感染が落ちつき、外に出ることができるようになったとしても、「不要不急」の消費や行動を控えるマインドは、この自粛の期間で根強くなっているでしょう。リモートワークも当たり前になるであろう社会では、ファッションアイテムの必要性が下がることは、簡単に想像できます。


ラスベガスのLiberty Fairsの様子


展示会や生産拠点にも予想される変化

 今回のコロナ危機がファッション業界にもたらす変化は、他にも予想されます。

 展示会は、今回のような問題があった場合、スケジュールが急遽変更になり、先が見えなくなることがわかりました。ウイルスがどういった形で収束するのかはわかりませんが、移動を伴い、不特定多数の人が集まるこれまでの展示会のスタイルというのは、維持されないかも知れません。

 特にファッション業界では、既に大きな合同展示会の集客力は落ちてきており、ショールームでの小規模の展示会や、オンラインを活用した展示会の形も増えてきています。業界によると思いますが、ファッション業界においては、既存のスタイルの展示会に執着することはないと予想されます。


 生産拠点にも、変化が出てくるでしょう。今回のような危機が発生した場合、生産や物流がストップし、商品が入って来なくなることがわかりました。また、ファストファッションに代表されるような、大量生産・大量消費の文化は、ほぼ終わったと言っても過言ではありません。

 そうなった場合、無理にリスクを取ってまで、工賃の安い国外拠点で生産する必要はなくなります。ひとつの商品を大切にするマインドは切り替わってくるでしょうし、エシカルやサスティナブルな消費の増加と相まって、より一層、どこで作っているのか、どうやって作っているのかが大切になってくるのではないでしょうか。


MAGICでの、サスティナブルファッションの展示


 今回のコロナ危機によって、ファッション業界は、大きな変革期を迎えています。これは当然、アメリカだけの出来事ではなく、世界的な流れで、日本も例外ではありません。コロナが発生する前のファッション業界に戻ることはもうないので、先を見据えた予測と準備を、どれだけできるかが重要です。

 今は本当に苦しい時期だと思いますが、ジョルジオ・アルマーニが言うように、ファッションや商品の価値が改めて見直される、業界にとってプラスの機会となることを願うばかりです。 

 この突きつけられた課題をチャンスに変えて、業界の方々と協力し、是非一緒に乗り越えていければと考えています。


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